「おじゃまします」
丁寧におじぎをする三上くんに、お母さんはあわてて頭を下げ返す。
「お母さん、こちら三上くん」
「三上です」
「美緒の母です~。上がって上がって。すぐにお茶用意しますね」
「すぐに帰りますから、おかまいなく」
途端にお母さんが残念そうな顔になる。
「えー。晩ごはん、食べていかないの?」
「お母さん。…上行こう、三上くん」
何が「えー」だよ、恥ずかしいなもう。
三上くんは小さく笑ってお母さんに一礼して、あたしのあとについてきた。
階段を上がって左手にあるのがあたしの部屋。
「何もないけど、どうぞ」
三上くんを部屋にうながしながら、そういえば男の人を部屋に入れるのは初めてだと気づく。
大丈夫。
昨日部屋は掃除したばかりだから。
彼氏の部屋より汚かったら情けないよね。


