また。


ねぇ、恭一。

アンタはどうして、キスをする時悲しそうな顔になるの?

つらいなら、どうしてあたしにキスなんかするの?

決して強引じゃなく、重ねるだけの、でも呼吸も止まるような深い口付け。

苦しいよ。

胸が、苦しい。


「ん……っ!」


胸元のネックレスが揺れて、優しい優等生の微笑みが頭をかすめた。

反射的にあたしは、目の前の胸を押し返して口付けから逃れる。


「なんで……キスなんか!」


熱い息が漏れ、声が震えた。

顔が燃える。







「……ごめん。好きになって、ごめん」







恭一はあたしの手を強く握り、うつむきながら「ごめん」を繰り返した。

それが告白なのか、懺悔なのか。

あたしには、わからなかった。

ただただ、恭一が「ごめん」ん口にする度、閉じられなくなった両の目から涙みたいなものがこぼれた。