「意味、わかんないんだけど」
「美緒ちゃん…」
「アンタの言うことは大抵意味わかんないんだよ! ちゃんと説明して!」
むりやり恭一に顔を上げさせて、平手打ちのひとつでもくらわせてやろうかと思った。
それくらいしないと、あたしの気持ちなんてわかんないだろうって。
けど…
ようやくあたしを見た恭一の顔は、
「なんで……そんなに、泣きそうな顔してるの…?」
悲しげに寄せられた眉、震える長いまつげ、噛みしめられて白くなった唇。
涙こそ流れていなかったけれど、泣いているように見えた。
恭一はそのまま切なげに笑う。
「言ったじゃない美緒ちゃん。俺はただ……キミに思い出して欲しかっただけなんだよ」
そう言った恭一にあたしは手を引かれ、広い胸に抱きとめられた。
固い体、高い体温、シャツから香る洗剤の匂い。
ダメだ…
胸が押しつぶされそうになる。


