待って。
待って待って待って。
落ち着け。
あたし、動揺してるけど、留学ってそんなにすごいこと?
そりゃびっくりはするけど、日本にいなくなったとしても、もう二度と会えなくなるワケじゃないんだし。
海外くらい、いまは学生だって簡単に旅行するんだから。
「何が、その方がいいの?」
「ん…」
「だって、アンタの家族はここにいるんだから。帰ってこないなんておかしいじゃん」
「……実は前から決めてたんだ、留学のことは。でも…デビューの話が来て、迷ってた」
恭一は髪をぐしゃぐしゃとかき混ぜた。
「本当は……美緒ちゃんに俺のことを思い出してもらえたら、すぐに発つつもりだったんだよねぇ」
遠い目をして恭一が小さなため息をもらす。
その告白には、固まるしかなかった。
「ちょっと……それ、どういうこと?」
冗談だろうと笑おうとして失敗する。
頬が引きつった状態で、あたしは恭一の肩をつかんだ。


