ニコニコしながらカウンター席へと行ってしまう背中を見送って、あたしは古びた木製の扉に向き直る。
ふたりきりですか…。
なんだか心細く感じてしまう。
それはつまり、あたしの心が弱いってことだ。
大丈夫、あたしには三上くんがいる。
ネックレスに触れ、小さく深呼吸をしてから扉をノックした。
「…恭一?」
ノックをしても名前を呼んでも反応がない。
本当に中にアイツがいるのかっていうくらい静かで、あたしは戸惑いながらドアに手をかけた。
「恭一、入るよ…?」
それにも返事がなかったけれど、ギギギと音をたてて開いたドアの向こうには、
懐かしくすら感じる金髪頭が、あぐらをかいて待っていた。
「恭一……」
背中を丸めて、古くて傷んだ畳に顔を向けて。
しおれた花みたいな姿に、あたしは心臓がキュッと縮まるのを感じた。


