運転しつつミッキーさんが、ハンドルを指先でリズムよく叩きながら言う。
「リバースキッズっていう、イギリスのバンドの曲だよ。昔練習でやって、それを録音したヤツなんだ」
「練習曲…。歌ってるのは、」
「もちろん、恭一だよ」
本当に…?
その問いは飲み込んで、あたしは胸元のネックレスに触れた。
乱れそうになる鼓動を、落ち着かせるために。
「恭一は、監禁されていたんじゃないんですか?」
「ああ、それがね。よくわかんないんだけど、ハルカがもういいって言い出して。キミがアイツに何か言ったんじゃないの?」
あたしは何も言ってない。
ただ、選択をしただけだ。
「最後に会うなり話すなり、好きにすればいいって言ったのはハルカなんだ」
「ハルカさんが?」
あたしに選択を迫った時の彼は、悪魔に思えた。
でもそんなことも、ないのかも。
最後に。
その言葉を頭で繰り返しながら、あたしは恭一のもとへ向かった。


