コンビニを後にしたミッキーさんの運転する車が、ネオンで明るい大通りに入った。
甘い声の彼の車は、甘い匂いがした。
「何か聴くかい?」
前を向いたまま、ミッキーさんが訊いてきた。
いまかかっている曲は、聴いたことのない英語のバラード曲。
「女のコが好きそうなイマドキの曲も、取りそろえておりますが?」
そうでしょうとも。
でもあたしにはイマドキの曲よりも、聴きたい歌がある。
「…パパノエルの曲がいいです」
はっきりそう答えたあたしを、ミッキーさんはチラリと見て微笑んだ。
「いいよ。…美緒ちゃんには特別に、レアなのを披露しちゃおうか」
そう言って、彼は信号待ちをする間にCDケースから1枚、何も書かれていないCDを出した。
そのCDが吸い込まれ、スピーカーから溢れ出した音は、また聴いたことのない曲で。
けれどわずかにかすれた歌声には、聞き覚えがあった。


