影がこっちに気づいて手を上げた。
「美緒ちゃん、ヒカルちゃん。お疲れさまー」
そう言って近づいてきたのは、いままさに話しに上がっていた背が高くて甘い声の男だった。
「あれー。本物だったねぇ」
「本物? 何の話?」
ミッキーさんはニコニコしながらあたしたちの顔を交互に見た。
「何でもないです。どうしたんですか、こんなところで」
あなたに関わるとハルカさんに色々言われるんです。
そう内心で文句を言っていたら、突然ミッキーさんがあたしの後ろに回って、背中を押してきた。
「ちょっ、なにするんですかっ」
「美緒ちゃん。ちょっと俺とドライブしようか」
「はァ!? ドライブって…」
「目的地は銀三でいかがでしょうか、お嬢さん?」
見上げたミッキーさんの顔はやっぱりニコニコしていた。
銀三って…
あたしは困惑して、車の前で足を踏ん張った。


