困った。
教室掃除を終えて、あたしは唸りながら廊下を一人歩く。
急な話で、映画に一緒に行ってくれる人が見つからない。
ユリは彼氏とデートだと言って、誰より早く帰ってしまった。
他の友だちにも、部活だ予備校だと断られてしまったし。
「あ。ヒカルは…」
ダメだ。
今日はヒカル、バイトが入っていたはず。
恋愛ものを一人で観に行くのも寂しいし。
せっかくのチケットをムダにしたくないし、中学の頃の友だちにも連絡をとってみようかな。
そう考えながら階段を下り、生徒玄関へと足を向ける。
チケットに上映時間が書いてないか確認していたら、
「お。映画観に行くの?」
肩越しに声をかけられ、あたしは驚いてチケットを落としてしまう。
振り返るとすぐそばに、学校一のイケメンの顔があって更に驚いた。
「なっ、何するんですか!」
「え? 何もしてないじゃん」
「顔が近いんですよっ」


