「あ、ホントだ」
「親が知り合いにもらってきて、それを渡されたんだけど、俺は今日用事あるから。よかったら使って」
ああ、なんだ。
そうだよね。
優等生の三上くんが、あたしをデートに誘うわけないですよ。
早とちりした自分を恥ずかしく思いながら、あたしはありがたくチケットを受け取った。
「じゃあ、また明日」
「うん。ホントにありがとう」
少し急ぐように教室を出て行く三上くんを見送って、あたしは回転ボウキの柄に顎を乗せ、チケットをかざす。
映画なんて、ここしばらく行っていない。
タダで観れるのは嬉しいんだけど…
「うーん。誰と行こう…」
「コラぁ、美緒! サボってないで働け~」
「はあ~い。ゴメン」
とりあえず、考えるのは掃除を終わらせてからだ。
あたしはもらったチケットを、制服の胸ポケットにしまった。


