バイトが終わって店を出ると、あたしはすぐに辺りを見回してしまう。
一体どちらを探しているのか。
はじめはあの、気の抜けるようなヘラヘラ笑顔が待っていた。
それが途中で、いつも涼しげな優等生の微笑みに変わって。
そしていまは、どちらもいない。
「美緒? どこか寄ってく~?」
一緒に外に出たヒカルが、気を使ってかそう誘ってくれたけど、
今日はやめとくと断って、ヒカルと別れた。
暗い夜道をこわいと思うことはあまりない。
ただ、いまは悲しくなるくらいさみしかった。
見上げた夜空には厚い雲。
今日も月はあたしを照らしてはくれない。
泣きそうになったから、あたしは鞄の中でMDプレイヤーの電源を入れた。
耳に引っかけるタイプの赤いイヤホンから、大好きな歌が流れ出す。
ユウナ先輩からもらったスペシャルMD。
そのラストを飾るのは、パパノエルの『CHIQUITITA』。
アイツの作った、大好きな曲。


