三上くんは無言のまま、あたしの上から体をどけた。
ベッドの端から脚をおろして、深くうつむく。
その背中を見た瞬間、あたしと三上くんの距離がどうしようもなく離れてしまったと感じた。
あたしは、取り返しのつかないことをしたんだ。
結局こんな時でさえ、彼を支えるどころか傷つけることしかできない自分。
目の前の背中に、触れる資格さえない。
沈黙にあたしの心が押し潰されるより先に、三上くんが口を開いた。
「帰った方がいい」
「三上くん…。ごめん、ネックレスは…」
なんて言うつもりだ。
忘れてきたんだって嘘をつく?
それでハルカさんに返してもらって、次会うときには何事もなかったようにつけていく?
それとも落としてしまったんだと正直に話す?
それでいま探しているんだとごまかす?
ハルカさんが拾ってくれたけど、まだ返してもらえていないとありのまま話す?
それらがすべて、愚かな言いわけであることに違いはないのに。


