そっと彼の顔を上げさせて、両手でその白い頬を包みこむ。
親指で涙の跡をぬぐう。
でも涙は黒い瞳から、あとからあとから流れ出てきて止まらない。
切なくて、あたしも一緒に涙を流した。
キスをしたのは、あたしからだったか、彼からだったか。
「ん……」
お互いの冷えた唇をなぐさめ合うように、何度も何度も重ねて、ついばんで、絡めて、呼吸を奪い合った。
キスをしながら流れる三上くんの涙が、あたしの頬にも伝わって。
彼の涙はあたしの涙になる。
節々の細い白い指が、あたしの涙をたどって耳をなでる。
首筋をすべり、その指は静かに制服のリボンを外した。
不思議なくらい緊張はなかった。
不安も迷いも戸惑いも、三上くんを想う気持ちに飲みこまれていた。
たぶんこの時、あたしの頭の中に恭一のことは欠片もなかったように思う。
心の奥底にアイツの存在を閉じこめて、固く鍵をかけていたのかもしれない。


