そんな人の『嫌いじゃない』は、『かなり好き』に聞こえる。
三上くんの耳にもきっと、そんな風に届いたんじゃないかな。
「なんで突然そんなことを言い出したのか、その時はわからなくてただ驚いたんだけど…。いま思えば、兄さんは知っていたんじゃないかって」
こうなることを。
死を予感していた。
もしくは、覚悟していた。
だから三上くんにはじめて、兄としてのメッセージを残し。
だから弟は兄を失う予感に押し潰されかけている。
「俺は、兄さんが好きだったんだ…ずっと」
「……うん」
「つまらないって文句を言いながら、何かを探すみたいに毎日どこかへ出かけていく兄さんは、俺から見れば『生きている』って思えて、眩しかった」
「うん」
「正反対だから、俺は嫌われていると思ってたんだよ…」
それも仕方ない。
それでも好きだったんだ。
そう呟く声は涙に濡れていた。


