気づいたら三上くんの背中に手を回して、なでていた。
泣く子どもをあやすように。
「事故に合う前の晩に、兄さんが電話をかけてきたんだ。…はじめてだった」
「はじめて…?」
「兄さんが俺の携帯電話にかけてきたのが」
それはかなりドライな兄弟だ。
でもあのお兄さんならわかる気がする。
弟とベタベタするタイプとは思えない。
「たいした用じゃなかったんだ。けど…それで最後に、変なことを言うんだ」
抱きしめてくる腕の力に息苦しくなったけど、耐える。
三上くんの苦しみが、少しでも移してもらえるなら。
「お前のことは、嫌いじゃなかった」
「え…?」
「そう言ったんだ。…兄さんが」
兄の言うセリフとしてはおかしなものだけど。
あのお兄さんの言葉だからこそ、意味は大きい。
一度しか会っていないけど、なんだかひねくれた感じの人に思えた。
素直じゃなさそうな、
言葉がヘタそうな。


