夜、自分の部屋で明日のバイトの交代を、電話でお願いした後。
窓辺に立って、冴えた月を見上げた。
静かで優しい光は、三上くんの笑顔のよう。
三上くんはあたしにとって、月みたいな存在なんだ。
すぐそばにいてくれる。
それだけで、穏やかな気持ちになれる。
三上くんはあたしの…
「……電話?」
どこかで何かが振動する音が、小さく聴こえた。
コートのポケットに入れっぱなしにしていた携帯電話に手を伸ばす。
ディスプレイには『ミッキーさん』の文字。
「…もしもし」
『あ、美緒ちゃん? ミッキーです。いま大丈夫?』
「はい」
彼の話すだろう内容はわかっていた。
きっとハルカさんのことなんだろうけど。
もう知ってしまっているから、それよりも聞きたいことがある。
あたしには知る権利があるはずなんだ。


