彼女は大きな猫目を病室から動かさないまま、口だけを開く。
「アンタ、優の彼女なんでしょ?」
「えっ。は、はい」
「……アイツ、ちょっと様子が変だ。明日はそばについててやった方がいいかもよ」
「明日?」
様子が変なのはわかっている。
見た感じは落ち着いているけれど、いつもの三上くんの落ち着きがない。
余裕がないというか。
明らかに心が乱れてる。
でも、明日って?
あたしが戸惑っていると、彼女はここではじめて、あたしに目を向けた。
「明日の昼から、健の手術をすることが決まった」
「手術…」
「かなり時間がかかるらしい」
「それで、お兄さんは助かるんですよね?」
「どうだろうな。危ないみたいだけど」
平然と言って、彼女はまた病室に目を戻した。
この人、お兄さんのことを心配してるわけじゃないんだろうか。


