病院へ行くと、ベンチに三上くんの姿はなくて。
お兄さんの病室の前には、あの髪の短い女の人がひとりだけだった。
「優なら親に電話しに行ってるよ」
彼女はガラスの向こうをじっと見つめながら言った。
顔立ちは綺麗なのに妙に男らしい口調で、ちょっとびっくりする。
「そうですか…」
あたしはいつも三上くんが座っている場所に腰かけた。
そこから隣りのベンチの彼女を、こっそり観察する。
大学生だろうか。
あたしがここに来る時にはいつもいるから、働いてはいなそうだ。
お兄さんの恋人…じゃ、ないのかな。
他にここに女の人が来てるのは、見たことがない。
お兄さんはモテるようなこと、三上くんが前に話してたけど。
来るのはコワそうな見た目の、決まった男の人たちばかりだ。
その人たちとこの女の人は、仲が良いみたいだけど。


