結局あたしは唇を固くむすんでうつむいた。
選択をしないという選択。
それしかあたしには選べなかった。
これは逃げだ。
苦痛を先延ばしにしただけ。
どうしようもなく醜い、あたし。
「……女は嫌いだ。優柔不断な女は、特に嫌いだね」
ハルカさんは深いため息をついて、両手をポケットに戻した。
あたしの大切な物が2つ、また目の前から消える。
「また来るよ。それまでよく考えておいて」
そう言い残して、ハルカさんはベンツに乗りこんだ。
走り去る黒いベンツの音が遠くになっても、あたしは顔を上げることができなかった。
ハルカさんを引き止めればよかった。
それでもっと、めちゃくちゃに責めてもらいたかった。
優柔不断なんて生ぬるい。
彼氏がいるくせに、気の多い女だ、自己中だ、最低最悪の……
「あたしには、泣く権利もない…」
自分の靴の先に向けてつぶやきを落とし、病院へとまた歩いた。


