「いいよ。…その代わり、こっちの紙は捨てるからね」
今度は左手でメモ用紙をヒラヒラさせる。
紙って……なんの紙?
戸惑うあたしに、彼は淡々と告げた。
「アイツの居場所が書かれた紙」
聞いた瞬間、体が動かなくなって。
あたしは目だけを動かして、メモ用紙を見た。
「ネックレスを返す条件は、もう二度と俺たちに関わらないこと」
「……なんでそんなこと、あなたに!」
「返してほしくないの?」
冷酷な声が、あたしを侮蔑するように降ってくる。
唇をきつく噛んだ。
「決められないんだ?」
「ちょっと、待ってよ。選ぶなんてそんなこと…」
なんでそんな選択を迫られなきゃならないの?
しかもこの人に。
わけがわからない。
でもそれよりも、
すぐに答えられない自分の心を責めたかった。
選ぶべきはネックレスだ。
恭一には今すぐじゃなくたって、会えるはずだから…


