その後帰りまで担任が見つからなくて。

三上くんからの連絡もなくて、あたしは落ち着けずにずっとソワソワしていた。

ようやくHRに現れた担任をつかまえて、何があったのか訊けば、


「ご兄弟が病院に運ばれたそうだ」


こんな答えが返ってきて驚いた。


「お兄さんが!? 何があったんですか?」

「詳しいことは聞いてない。病院行くか?」


担任は病院の名前を教えてくれて、あたしはそのまま教室を飛び出した。

三上くんの焦っていた顔を思い出すと、じっとしてはいられなくて。

生徒玄関へと走っている途中、ユウナ先輩に会った。


「どうしたの美緒。そんな急いで」

「先輩! あたし……っ!」


ユウナ先輩が優しくあたしの肩をつかむ。

助けてと、言いたかった。


「あたしやっぱりわからないよ……好きなんだもんっ」

「美緒っ?」


声をしぼり出すように言って、あたしはまた駆け出した。

早く、行かなくちゃ。

それだけを考えて。