怒りがあとからあとからわいてくる。
恭一に届かなかったことへの苛立ちか。
悔しくて、苦しくてしょうがない。
自分の喉をかきむしりたい気分なんて、はじめて味わう。
「デビューが遠のいたのはあたしのせい? それじゃまるで、デビューしたかったって言ってるように聞こえますけど?」
「…当たり前だろ。俺らは早くデビューしたいんだよ。それでなくてもずっと先のばしになってるんだから」
「どうだか。本当は、ほっとしてるんじゃないですか?」
「どういう意味」
ハルカさんのブルーグレイに光る目が、あたしの顔を正面から映す。
家がヤクザだという人の眼光も、いまはこわいと感じはしなかった。
「ライブ聴いてたらわかりますよ。あなた、あのヴォーカルのこと嫌いだったんでしょう?」
「…別に好きでも嫌いでもない」
「それは嘘。全然音合わせる気、なかったじゃないですか。むしろ全否定だったでしょ。間持ってたミッキーさんがかわいそうでしたね」
「…コイツ」
ハルカさんは綺麗な顔を歪めて、いまにも殴りかかってきそうな空気を出した。


