力いっぱい叫んだ。
『ハルカ』と『エイジ』という名前ばかりが飛び交う中で、
あたしだけがこの名前を叫んだ。
瞬間、
赤いキャップの男が立ち止まり、顔を上げた。
フードを取り、振り返る。
「美緒ちゃん…っ!?」
あたしの声に気づいてくれたのは、やっぱりアイツだった。
ナカにやり返されたのか、それともハルカさんに仕打ちを受けたのか、顔をあちこち腫れさせて、別人みたいになっていたけれど。
それは間違いなく、深田恭一だった。
「美緒ちゃん!!」
ベンツに乗りかけていた恭一は、押し寄せるファンの中から一瞬であたしを見つけた。
そしてファンの腕を避けながら、あたしに向かってあの大きな手を伸ばしてくる。
「恭一…っ!」
あの温かい手を取りたい。
ただそれだけの思いで精一杯に手を伸ばした。
あと少しで、指先に届く!
そこまで近づけたはずなのに…。
次の瞬間には、恭一の手は視界から消えていた。


