こっちを見たまま動きを止めるから、ファンの人たちも一斉にあたしに目をやる。
そんなに見られても…。
どうしよう、知らないフリとかした方がいいんだろうか。
そう思った時、ファンの一人があたしの背後を見て奇声を上げた。
「ああああー! ハルカ!?」
「えっ! どこどこ!?」
反射的に振り返ると、男が二人、あの扉から出てきたところだった。
輪の後ろの方にいたファンが走り出し、あっという間に二人を囲む。
白いシャツにグレーのベストを着ただけの、薄着の銀髪はたしかにハルカさんだ。
あの綺麗すぎる横顔はなぜか、赤く腫れているみたい。
その隣りで赤いキャップをかぶり、パーカーのフードまでかぶる猫背は…
「恭一…?」
俯いていて、はっきりと顔は見えないけれど。
あの体格、歩き方は、たぶんアイツだった。


