けれど誰も千堂さんの方なんか見ていなくて、閉じられたままのガレージから目を離さない。
「まあ…気づいてても、目なんか合わさないか」
こわくて直視なんかできないだろう。
そういう風貌の千堂さんが、こっちを見た。
目が合って、体が一瞬こわばる。
相手は何も言わず、近づいてこようともせず、ただゆっくりと頭を下げてきた。
あたしも慌てて頭を下げ返した時、
ライブハウスのシャッターが、ガガガと不快な音を立てて上に開かれていった。
集まっていたファンから歓声が上がり、群れはガレージの前に押し寄せた。
乗り遅れたあたしは、人垣の後ろに立って恭一の姿を探した。
その時耳に入ってきたのは、聞き覚えのある、甘い響きの男の声だった。


