先輩二人は顔を見合わせ、小さく頷いた。
短いアイコンタクト。
あたしなんかが気を回す必要もないくらい、二人は距離を縮めているらしい。
「んじゃあ、俺らは帰るわ」
「安心したし。パパノのデビューがまた伸びそうなのは残念だけど、あんな微妙形でデビューするよりはよっぽどいいよね」
「まだ言ってら。なら誰がヴォーカルならいいんだか」
「コータ先輩だってナカは微妙って言ってたじゃないですかー」
「もういいから、行くぞ北見。じゃあな、み…酒井さん。また明日学校で」
コータ先輩はやれやれと肩をすくめ、あたしに軽く手を振り、背中を向けた。
ユウナ先輩は唇をとがらせながら、その背を追う。
「美緒。アンタの事情はよくわかんないけど、ムリしちゃダメだよ! 美緒の彼氏、美緒をちゃんと見といてね!」
また明日!
大きく手を振りながら、ユウナ先輩も去っていった。
彼女は弱っていた時のあたしを知っているから、心配してくれているんだろう。
明日の始業式では、笑顔であいさつしなきゃ。


