「み……酒井さん。あの人待つのか?」
いまさらだけど、三上くんの存在を意識したんだろう。
コータ先輩はあたしの名前を言い直し、訊いてきた。
ゾロゾロと、出待ち目的のファンが増えてくる。
パパノエルに会うために。
ハルカさんやミッキーさん、それから…
恭一に会うために、この人たちは冬空の下で健気に待つのか。
「三上くん…」
横に立つ彼を見上げると、優しい微笑みが返ってきた。
「かまわないよ。待とう」
「ごめん…」
あたしはどれほどわがままな女なんだろう。
どんどん自分が嫌になってくる。
それでもどうしても、このまま帰る気にはなれなかった。


