ライブハウスの外には、中に入れなかったらしい人たちがまだいた。
少しでも、パパノエルのライブの音を耳にしたいんだろう。
三上くんは彼らの間を縫うようにして、あたしを安全な場所へと連れて行く。
「ケガはない?」
ライブハウス横の細道に入ると、三上くんはあたしの手を放して振り返った。
ケガはない。
バッグも無事だ。
「大丈夫。………中、すごいことになってるかな」
「どうだろう。スタッフとか、止めに入るんじゃない?」
「…警察とか、きたら……」
恭一があのヴォーカルを殴った瞬間を思い出すと、体がふるえた。
本気で殴っていた。
だって相手、ステージの端まで飛んだもん。
バンドの仲間内でのケンカだったとしても、あれだけの人が見てたんだから、警察が来てもおかしくないんじゃ…。
「もし警察が来たとしても、事件になるようなことはないと思うよ」
なぐさめてくれているのか。
いつもの落ち着いた声で言って、三上くんが頭をなでてくれる。
少し安心した時、背中に声がかかった。


