時が止まり、声が止み、鼓動すらも停止した気がした。
ほんの一瞬。
あたしたちの視線が絡んだのは、ただ一秒にも満たなかっただろう。
その短い時間で、恭一の顔が激しく変化した。
ソロが終わり、次で各パートが入るというタイミングで恭一だけがステージの上を動き、
ヴォーカルの顔を思いきり、殴りつけた。
「…キャーッ!!!!」
ヴォーカルはステージ上で吹き飛び、マイクスタンドが倒れたと同時に、観客の中から甲高い悲鳴が上がる。
一瞬客は静まり返ったけれど、
「テメェみたいのが歌っていい歌じゃねーんだよ!!」
怒りをにじませた恭一の生声に、客は興奮を倍増させてステージに押し寄せた。
「いいぞエイジー!」
「やっちまえっ!!」
野次なのか応援なのかも判断がつかない声で、ライブハウスが揺れる。
上にいた客も、一斉に下に降りようとしだした。
階段にいたあたしたちは、流されないように手すりにつかまって耐える。
「酒井さん!」


