階段の手すりにつかまったところで、曲が終わった。
歓声の中、ヴォーカルが機嫌のよさそうな笑顔でマイクに荒い息を拾わせる。
『ハァ、ハァ…いや~早いね。あっという間だね。次でラストだってよ』
だみ声のラストという言葉に、客が「え~」と一斉に叫ぶ。
もう終わってしまうのか。
恭一の顔を、ちゃんと近くで確認したい。
階段を下りようかと思ったとき、下から名前を呼ばれた。
「美緒!」
ユウナ先輩が観客をかきわけて階段を上がってくる。
その後ろには、コータ先輩。
「いま来たの?」
あたしの手をつかんで、少し髪を乱したユウナ先輩が訊いてくる。
「はい。あの…」
「美緒。やっぱあの人、美緒の知り合いじゃねーか?」
コータ先輩が、ステージの向かって右を指しながら言った。
「そうだと思うんですけど、顔が見えなくて…」
あのトライバルは恭一のものだ。
間違いない。
けどそれならなぜ、アイツはギターなんて弾いているんだろう。
ヴォーカルをやめて、ギターに転向した?


