「待って、三上くん…!」
うつむきながら叫ぶ。
上を向くことができない。
あたしきっと、ひどい顔をしてるから。
「なんで…? やめようよ。今日は、2人でいようよ」
「酒井さん」
「夜景、見に行くって言ったじゃん。ね…?」
三上くんは小さく息を吐き、あたしの頭に手を置いた。
その手はゆっくり降りてきて、頬を、包むように撫でてくれた。
「夜景はいつでも見られるよ。本当は夜景より、見たいものがあるだろ?」
あたしは首を横に振った。
そんなものない。
そう言いたかったのに、声が出ない。
「…お兄さんは言ってたよ。酒井さんの誕生日にライブを開く。それに酒井さんを誘うって」
「ど…し、て」
「伝えたいことが、あるんだって。キミには言ってなかった?」
違う。
そうじゃなくて。
どうしてアイツはそのことを、三上くんに言ったりしたの?
「それから……」


