なんで…
なんで三上くんが、ライブのことを、知ってるの?
混乱しすぎて何も言えずにいると、三上くんは辺りのらくがきだらけの建物を見回しながら、また口を開いた。
「お兄さんに会ったんだ」
「………恭一、に?」
「イヴの夜、酒井さんを家まで送った後、すぐね」
ドクン…!
あたしの心臓が、痛いくらいに跳ねた。
あの夜の出来事が、鮮明に蘇る。
恭一は、あのキスをする直前に、三上くんと会っていた?
待って。
ちょっと待って。
三上くんはどうしていままで、そのことを黙っていたの?
あたしが迷っていたことも全部、お見通しだったの?
なぜいまあたしを、恭一のところに連れて行こうとしているの…?
あたしはこわくて。
こわくてこわくて、しょうがなくて。
三上くんの手に逆らい、立ち止まった。


