広い館内を一つ一つ、すべての作品を見ながら歩くのは、思っていたよりもかなり大変だった。
手を繋ぐ優等生はけろっとしている。
細身なのに意外と体力があるのかもしれない。
そういえば、体育の時も目立たないけど、あまり汗をかいているところとか見たことがないな。
「三上くんて、体鍛えたりしてるの?」
美術館内にあるレストランに移動して、あたしは訊いてみた。
「特に鍛えてはいないけど。どうして?」
「なんか…三上くんが疲れてるとことか、へばってるとことか、見たことないから」
「やっぱり酒井さん、疲れてたね」
緑の庭が見渡せるガラス張りのレストラン。
そのガラスのそばの席に案内されながら、三上くんは笑った。
あたしはわずかに唇を尖らせる。
歩き疲れていることは、顔にも出さないで隠していたはずなのに。
すぐに見抜いて、休憩がてらレストランに入ろうと言ってくれたのは三上くん。
本当に、彼の第三の目にはかなわない。


