「いいよ。じゃあもう少ししたら、出ようか」
三上くんもクッキーに手を伸ばした。
甘さ控えめなのも、紅茶味なのも、もしかしたら三上くんの好みなのかも。
なんとなくそう思った。
それからあたしたちは、下にいた落合さんと馨さんにお礼を言って、美野里亭を後にした。
タンデムシートに座り、三上くんの背中に寄り添いながら、あたしはふと、あいつの背中を思い出してしまった。
ギュッと目をつむって忘れようとする。
けれど、あのトライバルタトゥーは瞼の裏に焼き付いて、なかなか消えてはくれなかった。
走り出したバイクから、鞄の中のチケットを、捨ててしまえれば良かったのか。
そんなこと、出来るはずはないのだけれど。
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