「なんだか安心しちゃった」
馨さんは頬杖をついて、あたしの顔をじっと見つめてきた。
「安心?」
「うん。優くんに、美緒さんみたいな彼女ができて。ほっとした」
「どうしてですか?」
「だって…優くん幸せそうだもん」
彼女の言葉はダイレクトに、あたしの心臓を締めつけた。
「優くんて昔から優しくて、自分のことより他人のことを気にする子だったから。不幸な人はほっとけなくて、自分の幸せは二の次って感じでね」
馨さんはずっと、三上くんを心配していたらしい。
幸せになれないんじゃないかと。
「あたしがいま幸せなのも、優くんのおかげなんだ」
だから優くんにも、絶対に幸せになってほしいと思ってた。
自分の左手に光る指輪を撫でながら、馨さんは呟いた。
あたしの顔は、自然に下へ下へと向いていく。
「それがあなたみたいな、綺麗でしっかりした彼女連れてくるんだもん。心配して損したな」


