三上くんのどの辺を好きになったのか。
好きな部分はたくさんある。
さり気ない優しさ、落ち着き、静さ、頼もしさ、時折見せてくれる笑顔。
すべてがあたしを安心させてくれる。
恭一のことを引きずりながら、それでも三上くんを好きになれると思って付き合った。
結果、好きになった。
好きになれると思ったわけは…
「ちょっと…似てるんです」
「似てる? 誰に?」
「あたしたちが、です。何となくですけど」
こんなこと言っても伝わらないだろうな。
馨さんは目をパチパチさせて、それから「ふうん」と笑った。
「そっかー。言われてみれば、似てるかもね」
「似てますか」
「うん。ちょっと大人っぽい雰囲気とか、落ち着いたしゃべり方とか。顔も何となく似てるかも」
「…実は三上くん、ウチの父にそっくりなんです」
三上くんには秘密だけど。
あたしがそう言うと、馨さんは声を立てて笑った。
「やだ、じゃあ美緒さんはファザコンてこと?」


