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16才になったあたしは、何も変わらないまま、成長もないまま、朝を迎えた。


「美緒、今日は彼氏と出かけるんでしょう?」


お父さんが会社に行ってから、朝ご飯を食べるあたしにお母さんがそう訊いてきた。


「うん。昼過ぎに出る」

「帰りは? 遅くなるの?」

「……わかんない」


レタスのサラダにフォークを突き刺しながらうつむくあたしを見て、何を勘違いしたのかお母さんはニヤニヤ笑う。


「じゃあお父さんには、うまく言っておいてあげるわ」


食後のコーヒーを飲みながら、向かいに座るお母さんは楽しそう。

娘の気持ちも知らないで。

でも仕方ない。

こればっかりは、お母さんに相談もできないんだから。

あたしの心惹かれている相手が恭一でなければ、きっと話しただろうけれど。