完全に獲物を捉えた獣の目だ。
「悪いようにはしねえって。大丈夫大丈夫」
「何が大丈夫…」
「俺ってこう見えて、結構優しい男だから」
まるで説得力がないし、安心もできない。
あたしは怒りを通り越してあきれてしまった。
こんなに見た目も中身も似ていない兄弟、初めて見た。
下には三上くんがいるんだし、この部屋から逃げられれば大丈夫だ。
そう考えて、お兄さんが動いた所で手を振り払った。
間を置かず飛び上がるように立ち、ドアへと走った。
…はずだったけれど。
伸びてきた長い腕に捕まり、反動であたしはベッドの上に投げ出された。
「ちょ…」
「逃げることねーだろ。優しくするっつってんのに」
お兄さんが笑いながら、あたしの上に覆い被さってくる。
また血のにじんでいた指先を舐め、獣はあたしの顎を捕らえた。
「アイツには貸しみたいなモンがあんだよ」
唸るようなその声に、あたしの全身に鳥肌が立った。


