澄んだ瞳に吸い込まれそうになりかけた時、外から激しいエンジン音が響いてきた。
ハッとして、顔を離す。
「す、すごい音だね。バイクかな」
三上くんの黒いバイクの音とはかなり違う。
近所迷惑になるだろう激しい音は、ピタリと止んだ。
「…兄さんだ」
「え?」
「兄さんが帰ってきたみたい」
三上くんは窓に目を向けながら呟く。
「お兄さんて、似てないっていう、年の離れた…? 京都から戻ってきたのかな」
「いや、兄さんは京都には行かなかったんだ。高校卒業して家を出てから、一度も家族と行動してないからね」
三上くんがそう言っている内に、階下から人が入ってくる物音が。
そして階段を上がってくる足音が続いて聞こえてきた。
いきなり三上くんの家族に会うなんて。
心の準備がまるで出来ていない。
動揺がおさまらない内に、部屋の扉が勢い良く開かれた。


