重い足取りで階段を上がっていくと、途中で下りてきたクインとすれ違った。
相変わらずあたしには見向きもしないし、止まりもしない。
クインかグランパが部屋にいてくれたら、ちょっとは気が楽になりそうなのに。
気弱なことを考えながら、言われた通り、上がってすぐ右手の部屋の扉を開けた。
「失礼しまーす…」
部屋に入ると、三上くんの香りに包まれた。
爽やかな、植物のような香り。
正面の窓辺に、観葉植物の小さな鉢がいくつか並んでいる。
続いて目に入るのは、壁一面を天井の高さまで隠す本棚。
ぎっしり本が詰まっていて、ああ三上くんの部屋なんだなと感じる。
そして紺色のカバーがかかったベッドを見て、鼓動が乱れた。
意識しちゃいけない。
部屋の真ん中に小さなテーブルが用意されていたので、あたしはそこの前に座り、コートを脱いで三上くんを待った。
きっとあたしが考え過ぎてるんだ。
今日は本当に勉強するだけで、他には何もないかもしれない。
そう思うことに努めた。


