「スカートにしときなさい。粗相のないようにね。ケーキでも買ってきなさいよ」
「ちが……」
「さっさとしないと遅刻するぞ~」
ニヤニヤ笑ったまま、お母さんは部屋を出ていった。
娘思いなんだか、楽しんでいるだけなんだか。
理解がある親だと、思っておきたい。
「……よし」
あたしは残されたスカートを広げ、意を決した。
スカートって、こういう場合どうだろうと悩んだわけだけど、服なんてそんなに重要じゃない。
大事なのは、あたしの気持ちだ。
着替えて、持っていく課題を確認して、コートとマフラーを掴んで部屋を出ようとして気付く。
ネックレスを、していない。
アクセサリーラックにあったネックレスを手に取る。
姿見の前に立ち、首にかけた。
ピンクゴールドの輝きが眩しすぎて、痛い。
これをつけて行って、あたしは大丈夫なんだろうか。
そんな風に思ってしまったけれど、つけていかないなんて考えられない。
これを彼からもらった時、毎日身につけようと決めたんだから。
「大丈夫」
鏡に映る自分に言い聞かせるように呟いて、あたしは部屋を出た。


