あたしもヒカルのようにちょっと抜けていたら、こんな風に悩むこともなかっただろうか。
その時はその時だ。
なんて、そんな度胸のある考え方ができただろうか。
『美緒の自由なんだと思うよ』
「…え?」
『こんな言い方は変かもしれないけどさ…』
どれだけ迷うのも、悩むのも。
結果どんな答えを出すのかも、自由だと思う。
ヒカルはそう言った。
だって気持ちというものは、本人にさえコントロール出来ないものだからと。
「ありがと…ヒカル」
『えへへ。でも三上くんとそうなったら、ちゃんと教えてね!』
最後にヒカルはそんな風に明るく言って、あたしを笑わせてくれた。
電話を切り、起き上がる。
少し頭がスッキリとしていた。
温かいココアでも飲みたいなと思った時、部屋の扉が叩かれて、お父さんが入ってきた。
その左手には湯気の立つあたしのカップが。
「髪乾かさないと、風邪をひくぞ」
差し出されたカップには、飲みたいと思っていたココアが入っていた。


