その夜、あたしはお風呂に入った後、部屋でヒカルと電話で話していた。
『それは絶対アッチのお誘いだよ~』
ヒカルに昼のことを話したら、彼女はこう言った。
あたしはタオルで濡れた髪を拭きながら、こっそりため息をつく。
「でも、前に三上くんちに行った時も家族はいなかったけど…別に何もなかったよ」
『それはあれだよ。まだそういう時期じゃなかったってだけだよー』
「でも…あの三上くんだよ?」
『あたしは三上くんとちゃんとしゃべったコトないもん。でもどんな優等生だって、オトコノコなんだからさぁ』
「そうだけど…」
塗れ髪のまま、ベッドに倒れ込む。
思考がフリーズしている。
いや、心が考えることを拒否しているんだ。
『みーお? どうするの? 行くの?』
「…行くよ」
『えっ。じゃあそういうコトになったらどうするの?』
からかうわけではなく、ヒカルは心配そうな声で訊いてきた。
あたしが自分の気持ちがわからないと話したから、気にしてくれているんだ。
「どうするかなんて…わかんないよ」


