この人は、本当に何を考えているのか読めない。
本当に勉強に誘ってくれているのか、それともまったく別のお誘いなのか。
気付けばあたしは立ち止まっていた。
散歩を中断させられたグランパが、つぶらな瞳で見上げてくる。
「…じゃあ、お願いします」
北風に揺れる彼の黒髪を見ながら、結局あたしはそう答えた。
どっちのお誘いだったとしても、あたしが断る理由はないという答えに行き着いたから。
またゆっくり、歩き始める。
「…三上くん、少し髪短くなったね」
「うん。向こうで切ってきたんだ。よくわかったね。グランパもトリミングしたんだよ」
呼ばれたと思ったのか、グランパが歩きながらこちらを向いた。
「酒井さんは髪、長くなったね」
「うん。伸ばしてるの」
「長いのも、似合ってるよ」
さらりとそういうことを言うのが得意な三上くん。
優等生は褒め上手だ。
学校であたし以外にもこうだったら。
そして彼がコンタクトを使っていたら。
きっとコータ先輩にも匹敵する、モテ男になるだろうなと思った。


