あたしは腹立たしさを感じながらも、少し安堵した。
そんな男とヒカルが付き合うことにならずにすんで、良かった。
「あたしね、いままで付き合った人はみんな、好きになれそうって思って付き合ってたの。優しそうとか、面白そうとか、理由は色々あったんだけど」
「うん」
「でも今回は、好きになれそうになかったからさ。相手がどうって問題じゃなくて、あたしの気持ち的に…」
「…結城さんのことがあったから?」
少し前に、ヒカルはバイトの先輩だった人に告白されて断った。
それからずっと元気がなくて心配していたんだけど。
「…あたしね、自分がなんですぐにフラれるのかよくわかってなくって。だから結城さんと付き合ってもまた、わからないままフラれちゃうのかなって思ったら、嫌だったの。こわかった」
「好きだったからでしょ」
「…うん」
控え目なヒカルの返事を聞きながら、あたしは辞めていった結城さんの、頼りなげな笑顔を思い出す。
両想いだったのにフラれるなんて、とことんついてない。


