あたしは恭一を、本当に心から、兄だと思えているだろうか。
あの恋心を、完全に断ち切れたことなどあっただろうか。
イヴのキスを思い出しては、甘い疼きと目眩を感じているあたしは…
「自分が全然わかんない」
ため息をついてテーブルに突っ伏した。
以前コータ先輩と噂になって、学校で受けた嫌がらせを思い出す。
二股だ三股だと、覚えのないことを言われ、あの時はふざけるなと怒りを感じたけれど。
いまのあたしがまさしく、股をかけている状態なんじゃないだろうか。
ヒカルにそう言うと、頭を優しく撫でられた。
「何で美緒が股かけてるってことになるのー? 美緒の彼氏は三上くん一人じゃん。深田さんとは付き合ってるとかじゃないじゃん」
「そうだけど…」
「ならやっぱり、二股とは言わないよ~」
のんびりと喋りながらヒカルが笑う。
あたしはその笑顔に落ち込みそうになった。
ヒカルにも、イヴに恭一とキスしたことは話せない。
「あたしの方がもっとひどいよ~。男の人に、すぐヤれる女って思われてるみたいでさ」
「は? ヒカルが?」
「うん。彼氏がコロコロ変わるし、告白されても断らないからだろーね」


