ほどけた糸が、再び複雑に絡まり始めた。
恭一のバンドが、パパノエル?
そのキョンキョンていうヴォーカルが、恭一?
あの少しかすれた歌声は恭一の声?
どうしてサンタクロースなんて言ったの?
エイジって誰?
ヴォーカルが変わったって誰に?
じゃあ恭一はいま、何をやってるの?
頭がたくさんの疑問で溢れ始めた時、不意に後ろから声が。
「酒井さん?」
三上くんの声。
反射的に、あたしはチケットを鞄の中に押し込んでいた。
振り返ると、ブレザーを脱いでシャツの袖を捲り上げている優等生が立っていた。
「酒井さん? どうかした?」
「三上くん。…どこ掃除だったの?」
「靴箱。さすがにちょっと寒かった」
寒さには強い三上くんが、赤くなった両手を見せて笑う。
そしてすぐに後ろにかかっているコートから、黒い手袋を取り出した。
あたしが昨日プレゼントした、あの手袋。
してきてくれたんだ。


