「その恭一って人、あだ名とかある?」
「あだ名?」
「例えば…キョンキョンとか」
あだ名と言われても。
アイツが誰かに名前を呼ばれている場面なんか、あまり見ないし。
ハルカさんは普通に恭一って言っていたはずだ。
ミッキーさんはどうだったっけ。
あたしは思い出せず、首を振った。
「覚えがないです。でも、どうして?」
「うーん、もしかしてと思っただけなんだけどさ。キョンキョンはパパノのヴォーカルの名前。本名はもちろんわかんないんだけど」
「パパノの…ヴォーカル?」
「あのね、美緒。パパノの正式な名前はパパノエルっていうんだけど」
それはユウナ先輩にCDを借りたから知っている。
確かスペルは『PaPa Noel』だった。
でもそれが何だっていうんだ。
「パパノエルって、たしかスペイン語なんだよね」
「それ…サンタクロースって意味じゃない?」
コータ先輩がユウナ先輩の言葉に続いた。
二人で「たぶんだけど」と、確信を持ったような顔で言う。
サンタクロースって…。
あたしは持っていた雑巾を床に落とした。


