「メリークリスマス」
おどけたような声と一緒に差し出されたのは、チケット袋。
「次のライブのチケット。受け取ってくれる?」
「…当たり前じゃん」
あたしはそれをしっかりと受け取った。
嬉しくて。
恭一から貰えたことが。
『次』が約束されたことが嬉しくて。
笑みがこぼれるのを止められない。
ありがとうと言おうとして顔を上げた時、視界の端に映ったのは、
「あ。雪だ」
「え? ああ……ホントだねぇ」
ひらひらと、花びらのような粉雪が、あたしと恭一の間に舞い落ちてきた。
イヴに雪なんて、神様も気が利いている。
そこでようやく、あたしは手に持っていた紙袋の存在を思い出した。
きっとクリスマスに渡すことは、できないだろうとあきらめていたけれど。
こうして直接会うことができて、良かった。
「恭一。…メリークリスマス」
押し付けるように、あたしはプレゼントが入った紙袋を差し出した。


