恭一は少しの間の後、小さく吹き出した。
「じゃあ美緒ちゃん…俺からのチケットだったら、今日のライブに来てくれたの?」
「…うん。行った」
と思う。
今日はイヴだったけれど。
三上くんと、とても素敵な時間を過ごすことができたけれど。
彼とさらに距離を縮めることができたけれど。
でもそれがわかっていても、あたしはライブに行っていただろうと思う。
「ふ…。美緒ちゃん、ガンコ」
「どこが」
「ガンコじゃん」
「…うるさいよ」
「何かつらい事があっても、口に出さないし」
そんなことない。
アンタのことはヒカルに話したし。
泣いたりもする。
「でも美緒ちゃんのそういうトコ、好きだよ」
好きだよ。
ふにゃっとした笑顔でそう言った恭一に、あたしは何も返せなくなる。
『好き』という短い言葉。
この男の声が紡ぐと、どうしてこんなに特別な響きが生まれるんだろうか。
どうしてその響きは、あたしにこうも強く作用するんだろうか。
胸が詰まって、苦しくて俯いたあたしの目に、白い物が現れた。


